一生忘れない夏の物語【読書記録】
眩しくてキラキラした夏の物語ではありません。
泥を踏みつけたような後味の悪さと喪失感に襲われます。
この言葉から始まります。
まさかあんな悲劇が起こるなんて。
この言葉の持つ意味を軽く考えていました。
世の中で繰り広げられる出来事は、
子どもにとって衝撃的で歪んでみえます。
我が子は、どうか健やかに汚れを知らずに
生きていってほしいと願ってしまいます。
1.「風鈴」を3つの単語で紹介します。
▶︎友だち
私とワタルで遊んでいた夏休み。
東京から中学生のミヤビが遊びに来ることで
2人は翻弄されます。
子どもながらに残酷な世界があることを
思い出してしまいます。
▶︎大人
井戸へ落ちた時。
一人で歩いている時。
歪んだ大人たちの態度が恐ろしく表現されています。
純粋無垢な故に、大人たちの心をストレートに
受けてしまう子どもの心を覗いてください。
▶︎芸術
ワタルと工作をした思い出。
「風鈴」をみたこと。
芸術がキーワードになり、
物語の大切なシーンを担っています。
「風鈴」とは何か。
是非答え合わせをしてみてください。
2.この本をおすすめしない人
・キラキラした小説が読みたい人
・後味がどんよりするのが苦手な人
「風鈴」は私たちを
どんよりと底へ引き摺り込みます。
読み終えると穴に落ちたような、
確実に心に突き刺さるものがあります。
3.感想
小説を読んでいる途中の胸騒ぎを
久しぶりに感じました。
嫌な予感がするとき、勘が働いて
ざわざわすることがありますよね。
それを感じてしまった主人公と
変えることのできなかった運命。
物語はハッピーエンドで終わりません。
主人公は、
「風鈴」をみた小学生の夏休みの記憶は
今でもまだ心の深い部分にしまってあります。
月日が経ち、大人になってもなお
大人が怖いまま生きています。